認定調査項目を読み解くPart2|独り言・独り笑い/自分勝手に行動する

独り言・独り笑い

 1.項目の定義

「意味もなく独り言や独り笑いをする」行動の頻度を評価する項目です。

ここでいう「意味もなく独り言や独り笑いをする」行動とは、場面や状況とは無関係に(明らかに周囲の状況に合致しないにもかかわらず)、独り言を言う、独り笑いをする等の行動が持続したり、あるいは突然にそれらの行動が現れたりすることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照


3.選択の際の留意点

・以前からの癖で独り言が多い等ではなく、場面や目的から見て不適切な行動か否かで判断します。

・相手がいないにもかかわらず話しかけている、人形などモノに向かって話しかける、などが該当します。

4.ポイント

・失語症などで発語のない人が唸り声をあげている場合は、独り言ではなく「何かを訴えている」と評価します。

・寝言は含まれません。

・話す声の大小は問いません

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢選択理由およびポイント
夫が半年前に亡くなっている。毎日仏壇に向かって何かを話しかけているない場面や目的から見て不適切とは言えない
昔からの癖で、一人の時はいつも自室で歌を歌っているない以前からの癖や習慣の場合は該当しない
テレビに向かっていつも話しかけているある目的から見て不適切と考える
内容は不明だが一人でブツブツと何か話している時が毎日あるある独語であり、話す内容や声の大小は問いません
幻視、幻聴があり、「洗面台の下に何かいる」「子供の泣き声がする」と毎日言い、壁に向かって話しかけている。ある幻視、幻聴による話しかけは場面や目的から見て不適切と判断します

前回の調査項目を読み解く"意味もなく独り言や独り笑いをする”の記事

 

自分勝手に行動する

1.項目の定義

「自分勝手に行動する」頻度を評価する項目です。

ここでいう「自分勝手に行動する」とは、明らかに周囲の状況に合致しない自分勝手な行動をすることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照


3.選択の際の留意点

・性格的に「身勝手」「自己中心的」な行動があるということではなく、場面や目的から見て不適当な行動があるかで選択します。

・病院、施設等で規則や指示を守らない、家族の注意を聞かない、自傷他害などの危険行為、セクハラ行為等が該当します。

・一定期間内(概ね過去1 か月間)であっても、予防的手段や対策をとったことで自分勝手な行動をすることがないと判断される場合は該当しません。あくまでも現在の環境でその行為が発生したかで選択し、予防的手段や対策をとらない場合の状況を含め、実際の状況を特記事項に記載します。

・異食行為、不潔行為(オムツ外しや排泄物をもてあそぶ行為など)は該当します。

なお、異食行為、不潔行為を「自分勝手に行動する」と評価することについては、保険者によって判断が異なるために各保険者に確認することをお勧めします。


4.ポイント

社会生活上での「ルール違反」などが該当しますが、マナー違反や迷惑行為は性格や生活環境などの個人差が大きいので基本的には該当しません。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢選択理由およびポイント
家族に相談せずに新聞や牛乳の契約をしてしまう。後で家族が気付いて事情を説明して解約している。時々ある家族の注意を聞かない状況であり不適切な行為と判断出来ます。
現在グループホーム入居中。施設の近くに娘の家があると思い込み、そこに行こうと毎日外に出る。(一人で出たがる、自分勝手に行動する項目の共通特記)一人で出たがる、自分勝手に行動するいずれも「ある」を選択一つの行動に対して原則一つの項目で評価するべきです。この場合は「一人で出たがる」で評価するのが妥当と思います。
現在施設入所中で、毎日他の利用者や一部の職員の悪口を職員に話す。ある顰蹙(ひんしゅく)を買う状況ではあっても規則違反でもないため定義に該当しません。「ない」を選択するべきです。
いつも落ち着きがなく、貧乏ゆすりや指を舐める行為があり、舐めた指でテーブルなどを触るため他の利用者は嫌がっている。あるこの場合も顰蹙を買う状況ではありますが、場面や目的から見て不適切とまでは言えず「ない」を選択して特記のみとするべきです。
視力低下や手の不自由さがあり、家族は「家事はしなくていいから」と言っているが、勝手にやってしまうことが週に1回ほどある。あるこの場合は「指示を守らない」とまではいえず、定義に該当しません。「ない」を選択するべきです。
施設入居中で、食事の際に隣の人に「早く食べて」「こぼしているよ」などと言うため他の利用者が嫌がり、職員にたしなめられる。ある他人に世話を焼いている状況であり、場面や目的から見て不適切とはいえません。「ない」を選択するべきです。
四肢麻痺があり、自分でTVのリモコンを操作できないため夜間も施設職員に対してチャンネルを変えるように何度も頼む。ある目的から見て不適切とは言えず、「ない」を選択して特記のみとするべきです。
糖尿病があり、食事制限中だが好きなものを勝手に食べている。ある指示を守らない状態であり、場面や目的から見て不適切と言えます。
女性ヘルパーに対してセクハラ言動があり、女性ヘルパーが危険を感じるくらいに迫ったり怒ったりするあるセクハラ言動については社会的なルール違反ですから該当します。
施設入所中で、尿失禁した紙パンツを箪笥に隠している。そのため週2 回の入浴の際に職員が箪笥の中を確認している。ある不潔行為であり、場面や目的から不適切であると判断できます。

前回の調査項目を読み解く″自分勝手に行動する”の記事