審査会に伝わる特記を書く ~9月~

審査会に伝わる特記を書く ~9月~

麻痺、拘縮の特記の書き方を考える

麻痺や拘縮の項目で「ない」以外の選択をした際、具体的にどのように特記に記載すれば良いのか迷うことはないですか?
市町村によっては確認動作の試行を行ったうえで具体的な角度を記載するよう指導しているところも多いようです。

望ましい角度の表現は?

市町村のホームページの認定調査に関するサイトを見ると,介護の手間に関する特記事項の書き方の指導や具体例が示されていますが、麻痺、拘縮に関しては統一された記載方法などはありません。
では、実際に具体的な角度などを記載するとしたらどのようの表現するべきでしょうか?
参考のために、”調査項目を読み解く4月 麻痺等の有無”でも一部紹介しましたが、医学的な上肢、下肢の可動域の表現を以下に紹介します。

図1 上肢(肩関節)の可動域
図2 下肢(股関節)の可動域

 

図3 下肢(膝関節)の可動域(屈曲)

上肢の記載について

上肢の確認動作は、肩関節の屈曲と外転ができるかで評価します。特記記載の際は特に専門用語にする必要はないので「腕を前に上げる」「腕を横に上げる」と表現して問題ないと思います。そして肘関節が伸びているか、腕を上げた状態を保持できるかも踏まえたうえで評価します。
腕を前、横に肩の高さまで自分で上げることが出来れば「ない」を選択し、出来なければ「右・左上肢」を選択し、「横に約70度程度までしか上げられない」などと具体的な状況を特記事項に記載します。
拘縮の場合は、上肢に関連した関節で著しい可動域制限があればその関節を選択し、可動域制限などの具体的な状況を記載します。

下肢の記載について

下肢の確認動作は、大腿(太もも)の動きである股関節と下腿(膝から先)の動きである膝関節の動きで評価します。確認動作の試行は下記のいずれかで行い、評価します。
①椅子での座位になれる場合は、椅子に座って股関節をほぼ直角に曲げた状態で、膝を伸ばし下腿をほぼ水平に伸ばしたまま静止できるか
②椅子に座位になれない場合は、仰向けに寝た状態で、膝の下に枕等を入れて股関節を20~40度に屈曲させ、その状態で膝を伸ばし下肢全体を真っすぐにして静止できるか
③座位かどうかに関係なく、膝関節に可動域制限があり、膝関節を真っすぐにできない場合は、他動的に最大限動かせる高さまで自分で下腿を上げて静止できるか
①~③の確認動作ができれば麻痺「なし」、角度や静止時間が要件を満たさなければ麻痺「あり」と判断します。

具体的な角度の表現方法について

ー大腿(股関節)の角度の表現-
体幹の中心線を真っすぐ下肢に延ばして、その線が直線になっている状態が股関節屈曲0度で、椅子の座位での確認動作の場合は屈曲90度、仰向けに寝た状態での確認動作では屈曲20~40度程度になります。仮に屈曲約60度での可動域制限がある場合は「股関節の可動域制限があり、約60度程度屈曲した状態から曲げられない」と表現するのが一般的で、特記事項を読むほうも状況が理解できます。

ー下腿(膝関節)の角度の表現ー
膝の場合は大腿とは若干表現が異なります。これは認定調査における麻痺、拘縮の確認動作の基本姿勢が医学的なものと異なるからです。
医学的には、膝をまっすぐ伸ばした状態が伸展、屈曲ともに0度で、可動域制限がある場合は0度からの屈曲角度で表現します。
これに対し、介護認定調査では一般的に椅子に座った座位が基本姿勢となっており、膝をほぼ90度に曲げた状態からどの程度膝を伸ばせるか、足を上げられるかで評価しています。ですから「可動域制限があり、約60度程度までしか上がらない」などの表現になりがちです。また、市町村によっては膝を90度に曲げた状態からの角度ではなく、大腿からの角度で表現し「内径130度より伸びない」「内径100度より曲がらない」などと記載するよう指導しているところもあるようです。

このように、どこを起点にした角度で表現するかは調査員テキストでは統一されていない状況です。私としては、医学的に統一されている角度の表現で記載したほうが、審査会委員の多くを占める医療関係者が理解しやすいと言う意味でBetterではないかと考えています。
例えば、下のイラストのように膝を30度屈曲した状態での可動域制限がある場合、「足を60度程度までしか上げられない」と記載するのではなく、「膝は30度程度曲がった状態から伸ばせない」と記載した方が審査会委員の方々には状況がより正確に伝わると思います。

図4 膝の可動域制限

なお、可動域制限の角度について、何度をもって”著しい”と評価するかなどについては本サイトの「調査項目を読み解く4月」で詳しく触れていますのでご一読ください。

このコーナーは先月から新しく開始になりました。
自分の体験をもとに書いていますので、違う意見をお持ちの方もおられると思います。
このコーナーがより良い特記記載の参考になればと願っています。

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